マーケティング ファイブフォース分析とは? 業界構造の把握に役立つ
自分が今働いている業界のことを理解しているだろうか?
もちろん、大多数の方が自分の会社と商品やサービスの販売先については、ある程度理解しているだろう。
ただ、それ以外の部分はどうだろうか?
業界に新規参入を考えている他社企業や、既存の商品が代替品によって、置き換えられてしまう脅威などについて考えているだろうか?
今回は、そんな時に使える業界構造を把握するフレームワーク ファイブフォース分析について説明していきます。
早速始めていきましょう。
(1) ファイブフォース分析とは?
ファイブフォース分析は、ハーバード大学のマイケルポーター教授によって考案された業界構造を把握するフレームワークです。
新しく参入する市場の分析として、または、既に進出している既存の事業の撤退などを考える際に使用します。
実際問題、その業界は利益が得やすいのか?
どんな点、どんな脅威を避けられれば、利益を上げられるのか?
このフレームワークでは、そういった脅威を5つに分けていますので、順番に説明していきます。
① 業界内の競合
ここでは、進出している市場の競合他社について考えます。
ブルーオーシャンでもない限り、企業が進出している市場には、ほぼ間違いなく競合他社の存在があります。
そういった市場では、基本的に他社からシェアを奪うか、その市場から撤退する戦略があります。
但し、その市場に参入するために、多額の投資をした場合など、投資資金の回収もできていないため、簡単に撤退するのが難しい場面もあるかと思います。
基本的には、市場が成長している場合は、どこの会社も利益を上げやすいため、そこまで問題にはなりません。
逆に、市場が成熟期に入ったり、市場の成長が遅く、競合が多い場合は、中々利益を上げるのは難しいです。
そういった場合、市場内では、価格競争が起こりやすく、過度な値引き競争が起こり、他社から市場シェアを奪おうとします。
② 新規参入の脅威
ここでは、進出している市場の新規参入のしやすさについて考えていきます。
基本的に、新規参入企業の多い市場だと、競争が激化し、収益性は低下します。
新しく入ってくる企業にどんどんシェアを奪われ、価格競争が発生します。
このように新しい会社がどんどん入ってくる市場は、参入障壁が低いと表現します。
逆に、なかなか新しい企業が入ってこない市場もあります。そういった市場は、参入障壁が高いと表現されます。電力業界や自動車業界などが当てはまります。例えば、電力業界に進出したくても、政府や行政の許可がないと、その市場には参入することができませんので、基本的に新規参入企業はほとんど出てこないです。
③ 代替品の脅威
ここでは、進出している市場での代替品の脅威について考えます。
自分の会社の商品が、低価格で、自分の会社の商品より品質が高いものが発売されると、自分の会社の商品がまったく売れなくなる脅威があります。
例えば、最近だとiPhoneがあります。iPhoneのカメラの性能が良かったために、今までは、デジタルカメラとガラケーの2つを所有していた人達がiPhone1つを所有すれば済むことになってしまい、デジタルカメラの市場が大きく縮小しました。
④ 売り手の交渉力
ここでは、売り手である供給業者 (サプライヤー)について考えます。
例えば、売り手が特許を持っており、その会社でしか商品を作れなくて、その会社が市場を独占している場合があります。
そういった場合、その会社からしか仕入れができないため、購入側としては、売り手の提案する値段を飲むしかありません。そのため、負担する仕入れコストが大幅に増え、利益が少なくなります。
⑤ 買い手の交渉力
ここでは、買い手であるエンドユーザー (小売店など)について考えていきます。
例えば、買い手であるコンビニなどが大量に商品を購入するので、商品の値下げをしてくださいと交渉してくる可能性があります。
このような業界では、コンビニなどが商品の仕入れ先をある程度、自由に変える事ができるため、買い手の交渉力が強くなります。
企業の戦略としては、他社の商品とは異なる性能を持った差別化した商品で買い手側に高く商品を購入していただいたり、場合によっては、どこまでなら商品の値段を下げられるのかを考える必要があります。
(2) 分析結果の活用方法
上記の ① から ⑤ の中で、どこが一番重要で、どこが無視していいかを考えます。
戦略上、全てを確認するのは不可能なので、優先順位を付けて、対応を考えていきます。
またこの分析結果によって、既に進出している業界であれば、業界からの撤退。
新規に参入予定の業界であれば、参入するかどうか、業界の状態を把握して検討します。
例えば、新しく業界に進出した際に、どうやったら、競争を避けて、利益を上げていけるか?を検討します。
結論:
いかがでしたでしょうか?
今回は、業界構造を把握するフレームワークであるファイブフォース分析について説明しました。皆様も、一度自社の業界内と販売先だけでなく、それ以外の分野についても分析してみましょう。